コーチ石川の感動日記

10.コミュニケーションの原点

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 すっかり私の生活も日常の仕事モードに戻ってしまいました。『感動日記~イタリア編~』も今回で最終回といたします。

 ベネツィアでの毎日は、サンマルコ寺院の鐘の音、続いてUコーチの陽気な歌声、そして、ホテルの朝食のカフェラテからスタートします。朝食に降りていくと、恰幅のいいおばさんたちが「ボンジョールノ!」とまず挨拶をしてくれます。そして、英語で声をかけてきます。「Coffee or tea? Black? with milk?」 “with milk.” 私たちはこのミルクたっぷりのカフェラテがたいそう気に入りました。紅茶派のOコーチもイタリアでは毎朝カフェラテです。

 よくよく観察していると、このおばさんたちは、お客がどこの国の人なのかを巧みに見分けて、イタリア語で話しかけたり、ドイツ語、フランス語で話しかけたりします。アジア系の人たちには英語で統一しているようです。挨拶と飲み物のオーダーをきく程度なのですが、その使い分けたるや“器用だなぁ”と感心させられます。

 ベネツィアは、国際観光都市なので、まさに人種のるつぼ、いろんな国の人たちが行き交います。この国に来てから感じていることがありました。特にこの街では、お店を出入りする時はもちろん、路上ですれ違う時、水上バスで隣り合った時、同じものに感動して目を奪われているお互いの存在に気づいた時、いつでも、目が合うとまず「ニコリ」と微笑んでくれる人が多いということです。つられてこちらも笑いかけます。「チャオ!」と挨拶を交わすこともありますが、言葉がなくても、笑顔だけで“ちゃんとコミュニケーションがとれた”という妙な満足感がわいてきます。連帯感、安心感もあります。“この人は私に親しみを感じてくれている。いい人だな。味方だな”そんな感覚です。

 ここが日本人の感覚と違うところなのでしょう。日本では国内であれば、どこに行っても日本語で通じます。周りの人の大半は日本人と決まっています。たまたま隣に座った人が何語を話し出すかなんてあまり考えないで生活しています。古代から様々な民族が行き来し、地域の統廃合が繰り返されてきた陸続きの国では、まず、「相手が自分と同じ民族とは限らない」という感覚自体が普通のことなのかもしれません。そして、違うバックボーンを持った人たちが、お互いの違いを認識しながら、安全に快適に生きていくためには、まず敵意を持っていないことを相手に伝えること。それが、自然に日常の中で身につけられたコミュニケーション態度なのでしょう。

 日本の組織の中も実は最近、「人種のるつぼ」なのかもしれません。「相手も自分と同じように考えるはず。そうでなくてはおかしい」とどんなに思っていてもそれが通じない世代、価値観が生まれているようです。「相手は自分とは違う人かもしれない」。ここからどうやってコミュニケーションをとっていったらいいのか、もっと使うべき言葉を相手によって変えていく柔軟性が必要なのかもしれません。まずは、「味方である」ことを伝えながら。

 ホテルの部屋の窓辺に、連日、豆を置き続けましたら、ついに鳩の餌付けに成功!ベネツィア滞在最後の朝、Uコーチの歌声とともに窓が開けられると、向こうから飛んでくるまでになりました。札幌から持参した「六○亭のストロベリーチョコ」では全くうまくいきませんでした。けっこうおいしいのに。Oコーチいわく、「鳩には、やっぱり豆!」だそうです。相手を見て、コミュニケーションしないとね・・・。

 学び多いイタリアツアー、またいつか・・・。

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市場のおばちゃんもおしゃれ!
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はるかなるベネツィア・・・
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餌付け成功!の瞬間

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