コーチ石川の感動日記

213.時間割も宿題もテストもない?!

前回に引き続き・・・

「多重知性論」を取り入れたユニークな教育手法を

展開しているオランダの小学校のお話です。

(※「多重知性論」についての簡単な解説は、

「感動日記No.212」をご参照ください)

 

大半が自由時間です。チャイムも鳴らないので、

トイレも自由に行きます。

好きな場所で各自取り組みます。

先生は、一緒に参加したり、サポートしたりします。

一時間半ぐらいすると、クラスに戻って、各々に学んだ

ことを発表し合います。

 

子どもたちは、他の子どもが選んだ異なるアプローチ

からも客観的に学ぶことができます。

自分が得意なこと、他の人が得意なこと、各々の学びを

合わせるといろんなことができるんだと学びます。

 

社会に出てからも、自分が得意なことで人を支援し、

自分が苦手なことは人に助けてもらう、

そんな社会性が自然と育ちます。

 

筆記テストなどはありません。習得達成度は、

子どもが課題に取り組む過程で、子どもとの

会話などを通して、あるいは、客観的に観察する

ことで把握できます。

先生が質問をして確認していきます。

 

宿題もありません。

家に帰ってからも続きをやりたいという子は、

持って帰ってやっていますが、強制はしていません」

との説明に・・・

 

「はぁ~!ほぅ~!なるほど~!」

思わず、うなってしまうことばかりです。

 

クラスでの全体発表の時間も、

少しだけのぞいてみました。

椅子のみで輪になって座り、

他の子どもの話を聞きます。

 

自分が学んだことを人に伝えると、学習効果もさらに

高まるでしょう。プレゼン力も磨かれますね。

先生は、発表者の子どもにも、他の子どもにも

どんどん質問をして、学びを深めています。

おお!まさに、コーチングだ!

 

【クラスで集まって、学んだことを発表し合う】

 

同じ教育モデルを取り入れている特別支援学校にも

案内していただきました。

発達障害や学習障害と診断された子どもたちが通う

学校だそうです。

 

「いったい、どんな雰囲気なのだろう?」

日本でもそのような学校にうかがう機会が少ない私は、

「何か気配りしなければならないことが

あるだろうか?」と少しドキドキしました。

 

この学校でも、同じように取り組みたい課題を

自ら選び、各々に取り組んでいました。

お花を解体している子、

ヘッドフォンで音楽を聴いている子、

画用紙を切って貼って勲章を作っている子、

お互いの顔にペインティングし合っている子、

パソコンで何かを調べている子、・・・

各々に夢中で楽しそうです。

 

 

一人の少年が、私たちに向かって、何かを必死に

アピールしてきました。

「何だろう?」こちらが注目すると、

マジックを一生懸命披露してくれました。

なんとも、ほほえましい!

思いがけないおもてなしに心あたたまりました。

少年のフレンドリーな笑顔に魅了されました。

 

 

「ここって、たしか、障害がある子どもたちが通う

特別支援学校でしたよね?

さっき見てきた普通の小学校とここの子どもたち

との違いが私にはまったくわからないんですけど。

この子たちのどこに障害があるのでしょうか?」

これが私の率直な感想でした。

 

この特別支援学校の校長先生が

こうおっしゃっていました。

「じっと座っているのが苦手で、普通学校では

他の子どもについていけない子どもたちですが、

それを活かした教育を行っています。

普通は座らせるようにさせますが、ここでは、

椅子から立って学ばせています。

自分で選んで、身体を使って学ぶことで、逆に、

障害と言われる症状も緩和されていきます。

たしかに、自由にやらせるわけですから、

先生たちに勇気がないとできない教育だと思います」

 

「なるほど!みんなと同じように強制することに

よって、かえってうまくいかない!

思わず、膝を打ちたくなりました。

 

別に、勉強って、黙って机に座ってやらなくても

いいんじゃないか。

個性を矯正して「枠」にはめようとするから、

「障害」と言われてしまうんじゃないか。

その子の欠点を補うのではなく、強みに焦点をあて、

その子の特性に合わせて、

伸ばしていけばいいじゃないか。

 

根底に流れるコーチングの哲学を実感せずには

いられませんでした。

 

「多重知性論」はもともと、ハワード・ガードナー氏

(ハーバード大学の心理学者)によって提唱されたもの

ですが、このような教育モデルに落とし込んで

活用されているオランダの教育現場の柔軟性に

深い感動を覚えました。

 

(さらに、つづく・・・)

 

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