コーチ石川の感動日記

92.「信じる」ってこういうこと

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札幌は秋:ななかまどの実

 この9月、久しぶりにまた大学で集中講義をさせていただきました。大学生の皆さんにコーチングをお伝えすることは、おもしろくて辞められません。コーチングの考え方、スキルを学ぶことで、どんどん意欲的になっていく学生の皆さん一人ひとりに無限の可能性を感じずにはいられません。
“へぇ~、そんなふうに感じとったんだぁ~”と、こちらも新鮮な気づきをもらえます。

 講義の中で、ある演習をやろうとしたときのことです。この演習は、まず、誰か一人の学生に前に出てきてもらって、皆の前で話をしてもらう、というまことに勇気の要ることをお願いしなくてはなりません。
“誰か、前でお話をしていただける方いませんか~?”
と言ったところで、勇気をもって自ら手をあげることはなかなか気合いの要ることです。それはわかっています。私が向こう側に座っている立場なら、やっぱりためらわれます。案の定、誰も自発的に名乗り出てくれません。

 困ったな。どうしようかな。でも、私は学生の自発性を引き出す役割でもあるんだし。指名しては強制的にやらせている感じだ。もうちょっと待ってみようかな。
“誰か、お願いできませんか?”
私はニコニコしながら待っていましたが、内心はあせっていました。このままでは時間だけが過ぎていきます。じっとうつむいたまま固まってしまっている学生もいます。誰も手をあげなければ指名される。それだけはイヤ!そんな心の声も聴こえてきます。

 もしかしたら、5分ぐらい待ったかもしれません。誰か必ず出てきてくれる、それを信じて待とう。「自発性」を扱う授業をしているんだから、指名するのだけはやめよう。私の心の中はその一点張りでした。・・・ようやく、観念したように、一番後ろの学生さんが手をあげて前に出てきてくれました。よかった!ありがとう!
この学生さんは、皆の前で堂々と立派に話してくれました。おかげで演習もうまくいきました。

 この日の感想レポートにこんなことを書いてくれた学生さんがいました。
「先生が、・・・の演習の時に、自ら手をあげる人を待ち続けた後で、“自ら進んで出てきてくれる人が必ず出てくると信じていました”と言った時に、信じるってこういうことなんだと思いました。コーチングを教える先生が、結局は指名してしまうのでは説得力がありません。先生は、自ら生きてコーチングの姿勢を示してくださったんだと思いました」。

 私の想いをこんなふうに受けとめてくれた感性に、心から感動です。ありがとう!

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