コーチ石川の感動日記

76.『質問』の不思議

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春と新緑の季節が同居しています

 コーチング研修での皆さんの演習に聞き耳を立てているのは、とってもおもしろいことの一つです。笑っちゃいけないけど、思わず笑っちゃう。

「部屋の掃除、しようしようと思ってるんですけど、なかなかできないんですよ~」
『どうして、できないんですか?』
「う~ん、時間がないんです」
『どうして?』
「今、仕事がすご~く立て込んでる時期で、いつも帰るのも遅いし、ほんっとに休みもあんまりないんです」
『どうして、そんなに忙しいんでしょう?』
「う~ん、今、ちょうど作らないといけない書類がいろいろあって、その上に、・・・、しかも、・・・、おまけに、・・・」
『それはたいへんそうですね~。もっと効率よくやるわけにはいかないんですかね?』
「そう言われても、とにかくやることがいっぱいあってもうたいへんなんですよ!」
『ほんの少しの時間もとれない状況なんですか?』
「ええ、もうとにかく時間がなくって、・・・」 

 話はぜんぜん前に進んでいかないようです。質問の仕方をちょっと変えて、もう一度やってもらいます。

「部屋の掃除、しようしようと思ってるんですけど、なかなかできないんですよ~」
『どうしたらできるんですか?』
「う~ん、もうちょっと時間があったら」
『どうしたら時間は作れるんですか?』
「う~ん、もうちょっと仕事から早く帰れたらいいんですよね。1時間でも時間があればいいかな」
『どうしたら1時間早く帰れるの?』
「う~ん、・・・仕事ももうちょっと効率よくやらないとね」
『どうしたら効率がよくなるの?』
「う~ん、・・・ま、今でも、忙しいですけど、なんとかやれてますからね。けっこう余裕はあるので、早く帰れるかな」
『え? じゃぁ、1時間ぐらい掃除する時間はとれるんですか?』
「ええ、それぐらいの時間はあるんですよ」

 質問をしているコーチ役も『あれ?』という顔をして笑っていますが、横でこのやりとりを聴いている私もおかしくて仕方がありません。
“なんで? さっき時間ないって言ってたくせに。今は、時間があるっておっしゃてるんですけど。いったい、どういうこと???”

 『質問』の仕方によって、人は全く正反対のことを言い出します。とってもおもしろいです。「なぜできない?」を「どうしたらできる?」に変えるだけで、とても不思議なことが起こります。
ぜひ、お試しください。

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